豊丸

713 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/27(金) 22:32:05.98 ID:Saq3qPJc0
俺は小さい頃から霊感があり、ちょくちょく変なモノを見かける。
こないだも友達とアンクルハウスって地元で呼ばれてる心霊スポットに行ってきた。その時起きた一件を書くよ。
アンクルハウスっつーのは、そこそこ立派な洋館もどきだ。俺らが子供の頃には既にあった。たぶん築50年は経っている白い家だ。
子供の頃から、ここは幽霊屋敷だとまことしやかに噂されていた。もちろん人は住んでいない。夜中に電気がついていたり、女の喘ぎ声が聞こえてきたり、中に入ると階段に髪の毛がぼうぼうに伸び切った日本人形が数えきれないくらい立っていたとか、いくつもの話が伝わっていた。
今回そのアンクルハウスに潜入するのは俺を含めて3人。みなそれぞれ、異能力の持ち主だ。俺はさっきも言ったように、普通の人には見えないモノが見える。幽霊とか妖精とか、カモノハシとか、河童とかだ。

太郎(仮名)は、めっちゃ足が速い。国体にも出たくらいだ。あと、そのせいか、体臭がかなり臭いのが玉に瑕だ。
孔子(仮名)は、ちょっとした予知能力がある。AKB総選挙の結果を当てたり、近所のクソババアの死ぬ日を当てたり、大雨の降る前の日に当てたりする。

716 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/27(金) 22:34:01.84 ID:Saq3qPJc0
三人とも物好きなので、アンクルハウス潜入計画はすぐにまとまった。俺たちは最初、玄関から入ろうとしたが、鍵がかかっていたので、裏口から入ることにした。裏口の鍵はかかっていなかった。
中に入ると、意外にも綺麗に整っていた。俺はまず、階段の日本人形が見たくて、部屋をぐるりとまわり、玄関の方面へと進んだ。

玄関はすぐに見つかり、その正面に階段があった。俺たちは階段を登ると、左に折れたところに、果たして日本人形が階段を塞ぐくらい、何十体と置かれていた。髪の毛は、それほどぼうぼうに伸びているわけでもなく、ちょっとがっかりした。
日本人形を踏みしめながら、俺たちは階段を登りきり、二階を探索することにした。二階には扉が3つあり、先ずは一番手前の部屋に入ることにした。部屋に入る前に、孔子が「なにかおかしな事が起こるぞ」と呟いた。俺はワクワクしながらドアを開けた。
その瞬間、おれは見てはいけないモノを見てしまった。アレをどう描写していいものか、大いに迷う。かなり抽象的な表現になってしまうことを許して欲しい。そういう風にしか表現の出来ないモノだからだ。
色は黒っぽい。が、灰色や赤が入り混じっている。大きさは大人の人くらい。形は、複雑な機械というか、回路というか、とにかくそんなような感じだった。
見た瞬間、俺はやばいモノを見てしまったと直感した。今まで色々変なモノを見てきたが、これはダントツでヤバイ。俺は逃げろっ!と怒鳴ると一目散に走り出した。
すぐに太郎が俺を追い抜いて階段を降り始めた。孔子も俺の後に続く。
日本人形を踏み、滑り落ちるようにして階段を降り切ると、正面の玄関ドアの鍵を開け、アンクルハウスから飛び出した。

719 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/27(金) 22:36:11.62 ID:Saq3qPJc0
太郎と孔子はいったん、一番近い俺のうちに集まった。さっきなにを見たんだ?と聞いてきたのは孔子だ。おれはできる限りうまく説明しようとしたが、見ていないヤツにアレを伝えるのには手を焼いた。ともかく、そうとうやばいモノだということだけは、分かってもらえた。

気がつくと、太郎の様子がおかしい。ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ、身体がブルブル震えている。頭に手をやるとすごい熱だ。
おれは布団を敷いて太郎を休ませた。孔子はしばらく太郎の様子を見ていたが、明け方に帰っていった。帰り際に、「俺たちもう手遅れかもしれない」と言い残して。
翌朝になっても太郎の熱はひいていなかったので、朝イチで病院に連れて行った。病院では風邪だと診断され、解熱剤等をもらった。
太郎はずっとニヤニヤしたままだった。昨夜あの時から一言も口を聞いていない。おれは太郎を家まで送り、孔子にiPhoneで電話をかけた。
孔子はうちに帰っていなかった。逆にどこにいるのか孔子の母親から問い詰められた。
俺は昨夜あった事を話すと、孔子の母親は明らかにうろたえ出した。すぐに太郎を連れてうちに来なさい!と怒鳴られた。仕方なく俺は太郎の親に無理を言って太郎を連れ出し、孔子の家へと向かった。
孔子の家へ着くと、すぐに仏間に通された。孔子の母親は今から人が来るから、ここでじっとしてなさいと厳しい口調で俺たちに告げた。

しばらくすると、行者のような格好をしたおばさんが仏間に入ってきた。おばさんは俺たちを見るなり、露骨にがっかりした表情を浮かべ、「もう遅いわ」と言った。そして電話(iPhone)を取り出し、なにやら丁寧な口調で誰かをここに呼んでいるようだった。

「今から隣の県から私の師匠が来る。それまであんたたちをできる限り守るから、あんたたちも必死で私のいう事を聞きなさい」
そういうとおばさんは着物の前を少しはだけ、首にかかった数珠のようなものを握りしめ、一心にお経のようなものを唱えはじめた。
はだけた着物から、もう少しで乳首が見えそうだったので、おばさんが目をつぶっていることをいいことに、俺は顔を近づけ覗き込んだが、乳首はギリギリのところで見えなかった。

729 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/28(土) 00:00:28.16 ID:gGkrZnZT0
おばさんは、ひとしきりお経を唱えた後、「これから絶対に声を出してはいけない」とだけ言い残し、俺たちを木簡で頭と言わず体と言わず、めっためたに叩き始めた。

薄い木板なので、あまり痛くはないのだが、見ず知らずの人に叩かれまくって、腹の中は煮えくりかえっていた。乳首が見えなかったことも怒りの一因だったのかも知れない。
二時間くらい経っただろうか、突如おっさんが
あらわれた。おっさんもまた、行者のような格好をしていた。おっさんは俺たちを見て、顔を顰め、座った。
相変わらず俺たちを叩いていたおばさんに「もういい」と言うと、今回の件について話し始めた。
どうやら俺が見たのは、豊丸(ほうがん)という、鬼神の類で、この地方に時々あらわれるのだそうだ。
もともと農作物の豊穣を司る神様だったらしいが、零落するうちに人々から忘れられ、しばしの時を経て鬼神となってあらわれたのだという。
この豊丸に魅入られた人間は無惨な死を遂げるという。確実な祓い方はまだ分かっていないのだそうだ。
「一か八かだが、」とおっさんは前置きして、これから俺たちに行うお祓いについて話し始めた。
お祓いと言っても、おっさんが正式な祓い方の分かっていない豊丸な対抗するために独自に考え出したものらしかった。

俺たちは、浴槽に入れられ、浴槽いっぱいに粗塩を満たす。浴槽に入ってからは一言も口を聞いてはならない。この状態で丸一日。
丸一日経ってももし命があれば、多分、豊丸の餌食になるのは免れたということになるだろう、とのことだった。
逆に言えば、丸一日以内に命を取られる可能性が高いということだった。
俺と太郎は服を着たまま浴槽に入り、大量に買い集められた粗塩を浴槽いっぱいに入れられた。服から露出した部分がヒリヒリと痛んだが、声を発することはできなかった。

737 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/28(土) 01:06:20.03 ID:gGkrZnZT0
太郎はこの期に及んでなお、ニヤニヤしていた。が、おっさんの言ったことは理解しているようだった。

ふと、孔子はどうなったんだ!と頭の中に浮かんだが、声を出してはいけないので、身振り手振りでおっさんに伝えようとした。
おっさんは「あいついいおっぱいしてるだろう」とにやけながら言ったので、身振り手振りを完全に誤解されている。
俺はかぶりを振り、もう一度身振り手振りで孔子のことを問った。
するとおっさんは神妙な顔になり、あいつはもうダメだな、と言った。
その言葉と表情だけで、おれは涙が溢れるのを止められなかった。
丸一日が過ぎた。
おっさんが、もう出ていいぞと言った。俺たちは粗塩をかき分け、浴槽から這い出した。
後のことはボンヤリとしか覚えていない。再度仏間に連れていかれ、お経らしきものを唱えられた後に俺たちは開放された。
孔子はまだ見つかっていない。
ただ、孔子の机には書き置きが残されていたとのことだった。一度やはりうちに帰っていたんだな。書き置きの内容は教えてもらえなかった。
太郎のニヤニヤは一週間くらい続いたが、そのうちだんだんもとの表情に戻りつつある。
俺はというと、今回のことに懲りて、出来るだけ変なモノを見ないよう、危なそうなことには顔を突っ込まないように自重している。

ちなみにお祓い料は、○○○万円だった(>_<)


関連記事
2017-05-16 13:07 : こわい話 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

PR

カテゴリ

検索フォーム

メールフォーム

PR